寒い 寒すぎる
立冬も過ぎ
冬の気配を感じる
そろそろ雪が降りそうだ
ニューヨークも寒いかな
暖を取りながら
海の向こうを思った
旅に出るといつもすることがある
訪れたその場所で暮らすことができるかを想像する
するするっと日々が浮かぶ町もあれば
ニューヨークのように
自分にとっての日常を
ひとつも想像することができない街もある
混沌とした力がみなぎっていて
自分には刺激が強すぎるのかもしれない
それでも
なんだか知らないけれど
街から発せられる何かを
足元からビリビリと感じながら
少し速めの足取りで進む
ニューヨークにワクワクしていた
ジャンクフードのイメージが強かった
食いしん坊の予想に反して
野菜がおいしかったし
オーガニックのものを容易にみつけることができた
それにしても寒い 寒かった
どうしても会ってみたかった
大きな自由な彼女に会いに行った帰りに
寒さに凍えながらふらり寄ったちいさな市場で
ホットアップルサイダーに出逢った
りんご味のサイダーが温かい?
怪訝に思いながらも
とにかく温かいものなら何でもいいからと
藁にも縋る勢いで
テントの中のニット帽をかぶった笑顔のお姉さんに
ホットアップルサイダーを1杯注文した
なんじゃこりゃ
こわばったからだが
ほわっとほどけていった
トロッとしたほんのりスパイスの効いた
濃厚なりんごジュースだった
一瞬で恋に落ちたように飲み干し
2杯目をいただいた
大きなポリタンク入りも売ってはいたが
旅の途中だったため泣く泣く断念した
こんな寒い日は
りんごとお気に入りのスパイスで
ホットアップルサイダーを
コトコト静かに煮込む
寒いのもいいもんだ
とほんの少しだけれど思えてくる
そういえば
希望の灯を掲げる自由な彼女
正式には
世界を照らす自由
というそうだ
aneのくうねるあそぶ「自由な彼女」